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もう色んな人に力説しているのだが、一番好きな水木しげる作品はコレ。
その後のゲゲゲの鬼太郎 (1977)
週刊実話で連載された、高校生になった鬼太郎(田中ゲタ吉)の物語。
正義の味方を卒業した、無気力で、お人好しで、女好きな鬼太郎が伸び伸びしてて好感。
少年漫画が舞台ではなくなったため、臆面も無く性欲を発揮するねずみ男とのコンビネーションは遺憾なく拡張。ぼけた目玉親父もモラル低下で、ゆるさに歯止め無し。基本的に話の大半が女性のナニをナニする話ばかりで自由気まま。
そんな鬼太郎はちょっと・・、と尻込みする読者もいるかもしれんが、これが彼らの本来のスタンス。
原点”墓場鬼太郎”を引き合いに出すまでも無く、少年マガジンでの連載終了後1970年に描かれた”その後のゲゲゲの鬼太郎”を読んでみるといい。
タイトルが同名だが、こちらは連載終了1年後の番外編。ヒーローに疲れた鬼太郎の余暇物語。
のっけから鬼太郎とねずみ男の糞尿食を巡るスカトロジーなののしりあい。バケーションで漂流した南国でお約束の妖怪事件に巻き込まれるが、ねずみ男は暴れん坊なチンコで性病感染、鬼太郎だって幼女を孕ませて楽園定住。
少年誌の舞台から降りた途端にダラシナイ二人。高校生となった数年後の姿は、より生来のものに近づいている訳。
しかし、大好きな作品なのだが、文庫本しかない上に掲載順がおかしい。ちゃんとした形での、も少し大きいサイズでの再発を望むが、文庫すらも絶版、プレミア化。オススメなのに、なんとかならんのか。
※2010年11月、タイトルを新たに(青春時代、スポーツ狂時代)再版されました。祝!
糞神島に引き続き、絶版ばかり紹介しても仕方が無いので、オススメ復刻版を紹介して今回を締めよう。
悪魔くん
最近復刻した分厚いのには2人の主人公が収録されているようだが、山田真吾版が必読。限りなく無力な救世主。
物語のそれぞれが、それなりに緊張感あるのに、結末は投げやりで唖然。精密描写の風景と、ユルユル描線の人物の対比が水木作品の魅力だが、そのコントラストは物語にも顕在している。水木節。あるときに手に入れておけ。
ユリイカという雑誌において、随分前の特集が水木しげるであったことは知っていたが特に入手せずにいた。少し前に本屋でバックナンバーを見かけパラパラ立ち読み。評論、コラムが並ぶなか、唯一”マッチ売りの少女”という漫画が収録。
暇な私は購入もせずに読み盗む。淡々と飄々とした描写はいつもながらだが、常の水木作品にないリズムのモノローグと暗い性描写。これ、凄いなと驚き、よくよく確認すると、原作は野坂昭如とあり、思わす歓声。肌が粟立つファン心理。(ユリイカは購入しました。)
水木しげるによる野坂昭如原作作品は、他にもあるようで、両ファンの私はそれらも読みたくて仕方がない(水木しげるが野坂昭如の原作を漫画化する経緯については、ユリイカに掲載。そちらもオモチロイ!)。それらが掲載されているのは、この作品集だという。
糞神島 (1973)
ACTION COMICS版
糞神島といえば、ゆらゆら帝国の坂本慎太郎を筆頭に高い評価を得ているウンコ物語。表紙が酷い。その存在は昔から知っていたが、普通に入手できるのは文庫版のみで、文庫サイズの漫画が好きでない私は別サイズでの再発を夢見て購入を控えていたけど、そうも言ってられない、書店に足を運ぶが、時遅く、文庫すらも随分前に絶版だという。世の中、そんな話ばかりだ。
ヤフオクで入手しました。プレミアついて、ちと高め。
水木と野坂のコンビ作品は、糞神島に収録の5編に”マッチ売りの少女”を加えて全6作品。その中でも群を抜いているのは、やはり”マッチ売りの少女”だろうか。野坂昭如節の哀歌に、水木しげるの緻密な背景描写と少女の不細工マヌケ面が絶妙にマッチして、お互いの世界が相乗効果。ラスト3コマに泪。
なお、タイトル作の”糞神島”は評判通りの圧巻だが、ウンコ物語としては、悪魔くんのビチゴン事件のほうが緩さと下らなさで一枚上手か。
先月の末に古書店にて、それとなく探していた文庫本、発見。
宿六・色川武大
色川孝子
私の最も好きな作家、色川武大。彼の妻による、色川武大の死後に綴られた二人の生活。
ぽろぽろと泪してしまう。
その後、色川武大の作品を読み返す毎日なのだが、その一つ一つ、言葉の端々に一々こみあげてしまう。20代後半から泪脆くなった己を自覚してはいたが、これは一体どうしたことか。
先般、2009年の4月10日が、色川武大の没後20年であったことを知り、”ああ、それでか”と自己満足的に都合よく納得する。
怪物アリャマタコリャマタこと、荒俣宏監修の「知識人99人の死に方」という書籍があります。
死を見つめ直すために、著名人の死を蒐集するという、流石は最後の博物学者。
この本、オモチロイのですが、ところどころで他の書籍から引用を行っています。
その引用元というのが、、
山田風太郎
人間臨終図巻
900人以上のヒトの臨終の様を蒐集。
ジャンル(?)も多岐にわたり、洋の東西、貴賎を問わず、キリストから夏目雅子、犯罪者まで様々。愕然と圧巻。
「知識人99人の死に方」は、様々な方が文章を寄稿しており、中には趣旨を理解していない糞つまらない文章もあるのですが(稲垣足穂の項など酷い)、こちらは、一貫して山田風太郎による文章。客観的に描きつつも、山田風太郎個人の死生観も入り交じり、とてもオモチロイ。
勝手に絶版本だと諦めていましたが、普通に売っているようです。(私、そういう勘違い多いです。)
最近、古本屋でみつけ、未だ読書中ですが、ヒトの臨終模様を堪能して2008年を締めたいと思います。
さて、山田風太郎は、歴史作品を描きつづける上でこの膨大な情報を蒐集したのでしょうが、このデーターベースをフル活用して描かれた作品に、「神曲崩壊」という珍作があります。
世界崩壊後、魂となった山田風太郎がダンテさながらに近代以降の著名人が如何なる地獄に堕ちているかを観察する物語。ここでも様々な人の死に様、業が描かれるが、行き着く先はスカトロジー!糞尿まみれのスカトロ地獄。おならが止まらない!
流石、奇想天外の歴史小説家。